研究課題/領域番号 |
20590834
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
竹本 恭彦 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20364002)
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研究分担者 |
葭山 稔 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30240956)
東 純一 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (30144463)
藤尾 慈 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (20359839)
前田 真貴子 兵庫医療大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (70461168)
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キーワード | 慢性心不全 / アドレナリンβ受容体遮断薬 / 薬剤反応性 / 血管内皮機能改善 / 左室収縮能改善 / 遺伝子多型 / 拡張型心筋症 / トロンボスポンジン |
研究概要 |
慢性心不全の進行を抑制し、左室収縮機能改善効果を有する薬剤としてβ遮断薬の有用性が明らかにされているが、β遮断薬に対する心機能改善患者群(responder)と非改善患者群(non-responder)の存在が問題である。我々はこれまでに、thrombospondir-1がβ遮断薬に対する反応性差異に関与する可能性を見出した。本研究では、β遮断薬に対する反応性差異が生じる機序におけるthrombospondin-lの役割を明らかにすることを目的とした。(1)β遮断薬反応性とTSP1遺伝子多型の臨床的検討:(a)症例数を増やし、合計71名の拡張型心筋症例にて検討した。TSPI A1746G(Thr523Ala)遺伝子多型にて、non-responder率はAA群で38.7%,AG群で31.0%,GG群で0%であり、Aアレルを持つ群ではGG群よりnon-responder率が有意に高いことが再確認できた。(b)血管内皮機能測定専用機を導入し、血管内皮機能測定精度が格段に改善された。TSP1遺伝子多型と血管内皮機能改善効果、β遮断薬反応性をひきつづき解析する。(2)TSP1遺伝子変異に関する分子生物学的検討:(a)TSP1A1746G(Thr523Ala)遺伝子変異によるタンパク発現量への影響の検討:1746A(523Thr)型が1746G(523Ala)型に比べ、そのタンパク質の発現量が有意に高いことが確認された。(b)TSP1A1746G(Thr523Ala)遺伝子変異によるタンパク質の安定性への影響の検討:1746A(523Thr)型と1746G(523Ala)型の間で、タンパク質合成阻害剤による発現したタンパク質の分解の程度に差は見られなかった。現時点では、thrombospondin-1のβ遮断薬反応性差異における役割にっき一定の結果を得たが、今後さらに検討を進める。
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