研究概要 |
【目的】平成20年度の研究で末梢血単球のサブセット(CD14^<high>CD16CCR2^+,CD14^<low>wCD16^+CX3CR1^+)と急性冠症候群(ACS)の病態形成にどのように関与するかを検討した。その結果、冠動脈プラーク破裂はCD14^<low>CD16^+CX3CR1^+単球数の増加と関連することを明らかにした。平成21年度においては、急性冠症候群の責任病変となりうる不安定プラークと末梢血単球サブセットとの関連を検討した。【方法および結果】冠動脈CTを予定している陳旧性心筋梗塞、狭心症患者を対象とした。末梢血単球のサブセットの同定は既報に準じて、フローサイトメトリー法を用いて評価した。冠動脈プラークの評価は、64列MDCTを用いて冠動脈CTの撮影を行った。冠動脈CT上の不安定プラークの特徴は、陽性リモデリングと低CT値であると報告されている。冠動脈リモデリングは、対照部の平均と病変部の血管径の比をリモデリングインデックスとし、RIが1.05以上を陽性リモデリングと定義した。CT値は、一断面につきプラーク内を5箇所測定し、少なくとも3断面測定し、その平均とした。本検討における不安定プラークの定義は、陽性リモデリングあるいは低CT値のいずれを有するものとした。その結果、不安定プラークを複数有する患者は、有意にCD14^<low>CD16^+CX3CR1^+単球数の増加を認めた。また、CD14^<low>CD16^+CX3CR1^+単球数はリモデリングインデックスと有意な正相関、CT値と有意な逆相関を示した。【結論】CD14^<low>CD16^+CX3CR1^+単球数の増加は不安定プラークの存在に密接に関与していた。従って、末梢血単球の質的差異は、ACSの発症のみならず、その進展にも関与している可能性が示唆された。以上の研究成果の一部はAtherosclerosisに投稿し、受理された(inpress)。
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