(1)不安定狭心症の診断マーカーとしての血清DNase I測定の有用性の検証 (方法)胸痛発作後4時間以内に来院した不安定狭心症(UAP)が疑われる患者(N=21)を対象とした。全例緊急冠動脈造影(CAG)を施行し、冠動脈病変の有無を確認した。来院時、来院3、6、12、24時間後に採血を行った。血清DNase I活性はSRED法で測定した。CAGで冠動脈に有意狭窄病変を認めた症例をUAP群(N=13)とした。またCAGで冠動脈に有意狭窄を認めず、冠スパズムも否定された症例を胸痛症候群(CPS:N=8)とした。(結果)UAP群では来院時、全例胸痛はなく、心電図異常を認めない患者が8人(62%)、トロポニンT陰性の患者が6人(46%)であった。最大血清DNase I活性はUAP群で20.0±13.9U/LでCPS群の9.7±2.5U/Lと比較して有意に高値であった(P=0.03)。またUAP群では入院時から入院3時間後まで血清DNase I活性は31%と有意に増加した(P<0.001)。一方、CPS群では血清DNase I活性は有意な変化を示さなかった。(考察)これまで来院時の胸痛、心電図異常や心筋逸脱酵素の有意な上昇がないUAP患者を診断する診断マーカーはほとんど知られていない。(1)の結果から血清DNase IはUAP診断の有用なマーカーになり得ることが示唆された。 (2)血清DNase I濃度の測定法開発 抗DNase I抗体を用いてenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)によりSRED法より簡便な血清DNase I濃度測定法を開発した。血清DNase I活性とr=0.839と良好な相関を認めた。これにより検査室や救急室で血清DNase Iを測定できる可能性が開かれた。
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