(1) 不安定狭心症の診断マーカーとしての血清DNase I測定の有用性の検討 統計学的パワーを得るため、さらに不安定狭心症(UAP)患者数を増やして検討した。胸痛発作後6時間以内に来院したUAPが疑われる患者(N=39)を対象とした。全例に冠動脈造影(CAG)を施行し、冠動脈病変の有無を確認した。来院時、来院3、6、12、24時間後に採血を行い、血清DNase I活性を測定した。CAGで狭窄病変を認めた症例をUAP群(N=29)、また冠動脈に狭窄病変を認めなかった症例を胸痛症候群(CPS:N=10)とした。(結果)最大血清DNase I活性はUAP群で19.8±11.1U/L、CPS群では10.1±2.7U/Lと有意にUAP群が高値であった(P=0.01)。またUAP群では入院時から入院3時間後までの血清DNase I活性は26.5%と有意に増加した(P<0.05)。一方、CPS群では血清DNase I活性は有意な変化を示さなかった。(考察)UAP群には来院時に無症状で心電図異常がなく、さらに心筋逸脱酵素の上昇がない患者も含まれており、血清DNase Iは診断が困難なUAP患者の診断に有用なマーカーであることが明らかとなった。 (2) 血清DNase I濃度の迅速測定法の開発 抗DNase I抗体を用いて酵素抗体法でDNase I濃度を測定することが可能となり、血清DNaseI活性との良好な相関も確認したが、未だ迅速キットの開発に至っていない。
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