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2009 年度 実績報告書

虚血性心疾患における酸化ストレスの2面性と抗酸化療法ジレンマに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20590847
研究機関関西医科大学

研究代表者

岩坂 壽二  関西医科大学, 医学部, 教授 (00098120)

研究分担者 大谷 肇  関西医科大学, 医学部, 准教授 (60168979)
キーワード高血圧 / 酸化ストレス / アンジオテンシンIIタイプ1受容体遮断薬 / 内皮型一酸化窒素合成酵素
研究概要

本研究の目的は高血圧という酸化ストレス亢進状態において施行される抗酸化療法の有用性と危険性を酸化ストレスの二面性の観点から検討することである。心筋に対する慢性的酸化ストレスは心筋細胞死を促進し、心不全を惹起するが、純粋な抗酸化剤投与による酸化ストレスの排除は心筋保護的シグナルの発生を抑制して致死的虚血に対する耐性を減弱させる可能性がある。本研究では糖尿病ラットの心筋において酸化ストレスが誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)を活性化して虚血耐性を獲得させるか否かを明らかにした。ラットにstreptzotocinを投与して糖尿病を作成し、その摘出潅流心にNOSの補酵素であるtetrahydrobiopterin(BH4)を投与して酸化ストレス、NO産生と心筋保護効果におよぼす影響を検討した。糖尿病ラットの心筋では酸化ストレスの亢進に伴ってiNOSの発現が増加した。糖尿病ラットにおいてBH4は酸化ストレスを抑制、NO産生を増加させ、虚血後の心筋梗塞サイズを有意に減少させた。BH4は心筋においてcGMPを増加させたが、心筋梗塞サイズの縮小効果はguanylyl cyclaseの阻害薬であるODQによって抑制されなかったことから、その心筋保護効果はNO-cGMPシグナル伝達経路とは無関係と考えられた。一方、BH4は心筋においてS-ニトロシル化タンパクを増加させ、心筋梗塞サイズの縮小効果はiNOS阻害薬の1400WとタンパクS-ニトロシル化阻害薬のdithiothreitolによって抑制された。以上の結果から、糖尿病ラットにおいて酸化ストレスはiNOS由来のNOによるタンパクS-ニトロシル化を介して虚血耐性をもたらしていることが明らかとなり、無定見な抗酸化療法の危険性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] The role of nitric oxide in myocardial repair and remodeling2009

    • 著者名/発表者名
      Otani H
    • 雑誌名

      Antioxidant and Redox Signaling 11

      ページ: 1913-1928

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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