本研究の目的は高血圧、糖尿病、高脂血症、心筋症といった酸化ストレス亢進状態において施行される抗酸化療法の有用性と危険性を酸化ストレスの二面性の観点から検討することである。本研究では以下の点を実験的に明らかにする。(1)高血圧モデルにおいて純粋な抗酸化薬と二次的効果として抗酸化作用が認められているアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が心不全発症および心筋梗塞発生時の梗塞サイズにおよぼす影響、(2)心筋症モデルにおいて酸化ストレスの下流にあって心筋細胞死のシグナルに関わっているp38 MAPキナーゼの阻害薬とARBが心不全の進展および心筋梗塞発生時の梗塞サイズにおよぼす影響、(3)高脂血症モデルにおいてスタチンが動脈硬化予防と心筋梗塞発生時の梗塞サイズにおよぼす影響、(4)糖尿病モデルにおいてミトコンドリアKATPチャネル抑制作用を有する経口糖尿病薬が心筋梗塞サイズにおよぼす影響に焦点を当てる。
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