研究概要 |
H20年10月からH21年9月の間で、安定型狭心症に対して待機的に冠動脈ステント留置術(PCI)を施行した50名を症例対象とした。まずステント留置後30分、3時間、6時間及び12時間の血漿中のCX3CL1(FKN)濃度を測定したところ、30分後に上昇し12時間後までそのレベルを維持した。次に全症例からPCI前と12時間後において血漿中のFKN、interleukin(IL)-6、interleukin(IL)-8を測定した。また術前にIB-IVUSを施行し、ステント留置部位のプラーク性状を確認した。結果、術前後においてhsCRPやIL-8は有意な変化を認めなかったが、IL-6(前:3.15±3.42pg/ml後:16.0±15.0pg/ml P<0.0001)及びFKN(前:656±122pg/mL後:811±177pg/mL P<0.0001)が有意に上昇した。IB-IVUSから確認したプラーク性状の検討においては、脂質プラークの体積との相関をみると、冠危険因子との相関はみられなかったが術後のFKNと高い正相関(r^2=0.29,P<0.0001)を確認した。他のプラーク性状との相関はなく、術後IL-6とも関連しなかった。術後6ヶ月に発生する再狭窄の有無と血漿中FKNの相関はなく、術後6ヶ月においてFKNは術前の値に復していた。 以上の結果より血漿中のFKNは、PCI直後にステント留置部位の脂質プラーク量に比例して上昇することが示唆された。臨床において血漿中のFKNがプラーク破裂のマーカーとしての有用性が期待できる。
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