我々が単離・同定した筋細胞特異的遺伝子MURCを心臓特異的に発現するトランスジェニックマウス(Tg-MURC)では、心臓の間質の線維化亢進、心収縮能低下が認められ、また心房細動や完全房室ブロックがみられる。これらの結果より、我々はMURCが心不全や不整脈に関与していると考えているが、その分子機序は明らかでない。そこで、MURCによる心不全や不整脈発症の分子機構を解明することを目的に本年度は、MURCと結合する蛋白質を同定・単離するため、yeast two-hybrid法と質量分析法を行った。 (1)yeast two-hybrid法 heart cDNA libraryのscreeningを行い、SDPRを同定し、免疫沈降法によりSDPRのMURCへの結合を確認した。そして、MURCによるANPのプロモーター活性亢進をSDPRは増強することを見出した。 (2)質量分析法 MURCのC末にFlagのtagを付けたMURC-Flagを過剰発現させたトランスジェニックマウスの心臓を用い、抗Flag抗体にて精製したMURC複合体をSDS-PAGEにて電気泳動し、泳動後に切り出したバンドをプロテアーゼで処理し、断片ペプチドのデータベースサーチを検索することにより、MURCと複合体を構成する候補蛋白質を3つ同定した。現在それらの候補蛋白質の機能の解析を行っている。
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