研究課題
miRNAは、蛋白情報を持たない小分子RNAで、遺伝子転写後の発現制御を行っている。miRNAの研究は現在、もっとも注目されている分野のひとつである。本研究においては、分子生物学的手法をもちいてmiRNAによる心筋代謝調節遺伝子制御機構を検討する。(Dicerコンディショナルノックアウトマウス;Dicerflox/flox mice(Hannon-GJ;Cold Spring Harbor Laboratory)以後Dicer-CKO)を入手し、Creマウス(薬剤誘導性心筋特異的Cre、以後・-MHC-CreERT2マウス)と交配を開始した。Dicer-CKO;・-MHC-CreERT2マウスに8週齢でタモキシフェンを投与したところ、著明な心不全をきたした。細胞レベルでmiR-133がKLF15を介してGLUT4の発現を調節している可能性があるため、糖代謝経路について検討中である。次に、高脂肪食負荷を行ったマウスにおいて心臓でのmiRNAのマイクロアレイ解析を行った。高脂肪食のみで発現の増加しているmiRNAについて、in situ hybridization法により発現の局在を検討中である。網羅的アッセイシステムによる新たな標的miRNAの解明の研究計画においては、心肥大から心不全へ移行する動物モデルにおいて、miR-16クラスターが心肥大から心不全にいたる際に、特異的に発現上昇することを認めた。in vitroにおいてこのmiR-16がミトコンドリアに存在する蛋白をターゲットとし、過剰発現させたときに細胞内ATPを減少させることを確認した。さらに、miR-16クラスターを阻害するデコイ遺伝子を作成し、心筋細胞に発現させたところ、内因性のmiR-16が減少し、細胞のATPが上昇した。さらにin vivoでの機能解析を続けている。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (15件)
J Lipid Res. 49
ページ: 1224-34
J Cell Physiol. 215
ページ: 733-42
Biochem Biophys Res Commun. 376
ページ: 728-32
Arterioscler Thromb Vase Biol. 28
ページ: 1077-83
Circulation J 72
ページ: 932-9
Circulation J 374
ページ: 731-6
Am J Physiol Heart Circ Physiol. 295
ページ: H1599-607
J Biol Chem. 283
ページ: 9828-35
Atherosclerosis. (Epub ahead of print)
ページ: 2195-201