研究課題
糖代謝・脂質代謝に関わるmicroRNA(miRNA)を探る中で、これらの制御に関わる遺伝子のイントロンにあるmiRNAについても検討を開始した。細胞内コレステロールレベルを厳密にコントロールすることは細胞の生存にとって大変重要である。Sterol regulatory element-binding protein 2 (SREBP-2)は細胞内のコレステロールの低下を感知して、細胞がコレステロール不足から守る働きがある。すなわち、コレステロール合成や取り込みに関わる遺伝子を正に制御し、また末梢の細胞においてはコレステロールの引き抜きに関わるATP-binding cassette transporter A1 (ABCA1)を負に制御する。我々はSrebp2のイントロンに存在するmiR-33欠損マウスを作成し、miR-33がSREBP-2のABCA1に対する機能を増強していること、また血中HDLの低下に関わることを示した。さらにこのマウスが動脈硬化に抵抗性かどうかを検討するために、ApoE欠損マウスとの交配も行い、組織学的検討を行っている。さらに心臓での代謝調節への影響についても検討中である。新たな治療標的miRNAの解明の研究計画においては、肥満および糖尿病モデル動物でのmiRNA発現プロファイル解析で得られたmiRNAについて、miR-デコイ遺伝子を用いた抑制系をもとに、詳細な機能解析を行っている。すでに特異的反応を示したmiRNAについてはfloxマウスを海外から導入ずみで、心筋特異的Creマウスと掛け合わせ、生体内での影響を検討する予定である。また、心血管疾患患者の血液サンプルにおいて血中の循環miRNAの測定を行った。血清miR-133の上昇が心筋障害のマーカーのトロポニンTと相関し、トロポニンTが上昇するより以前に上昇する鋭敏な指標であることを認めた。
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