研究課題/領域番号 |
20590870
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (90199951)
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研究分担者 |
三木 隆幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00336405)
丹野 雅也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (00398322)
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キーワード | コネキシン / 細胞死 / 細胞内情報伝達 / 心筋細胞 |
研究概要 |
培養心筋細胞(H9c2細胞)においてIGF-1受容体、δ-オピオイド受容体の刺激はいずれも細胞保護シグナルであるAkt、 glycogen synthase kinase-3β(GSK3β)のリン酸化をもたらすが、 siRNAを用いてコネキシン43(Cx43)の蛋白発現を抑制するとIGF-1によるAkt-GSK3βリン酸化には影響がなかったが、δ-オピオイド受容体刺激によるものは有意に阻害された。エンドセリン受容体刺激によるAkt-GSK3βリン酸化もCx43の発現抑制により阻害された。酸化ストレスによる細胞壊死はIGF-1、δ-オピオイドいずれによっても有意に抑制されたが、δ-オピオイドの細胞保護効果のみCx43の発現抑制により阻害された。GSK3βを直接塩化リチウムにより阻害した場合には、低酸素再酸素化やantimycin Aによる活性酸素の産生が抑制されることが観察された。以上の成績より、 Cx43はサイトカイン受容体であるIGF-1受容体の刺激によるAkt-GSK3βリン酸化には必須ではないが、 G蛋白連関受容体によるこの細胞保護シグナルには重要であること、またGSK3βリン酸化によるその活性抑制が細胞保護をもたらす機序の一つとして活性酸素抑制が考えられた。 G蛋白連関受容体によるPI3K-Akt-GSK3βリン酸化に寄与するCx43が細胞膜上のものであるのかミトコンドリアに局在するCx43であるのかを明らかにするために、ミトコンドリアへのCx43輸送をgeldanamycin (HSP90阻害薬)ならびにTOM20siRNAで抑制することを試みた。これまで種々の濃度のgeldanamycinを検討したが、この薬剤ではミトコンドリア分画のCx43を有意に減少させることはできなかった。 TOM20siRNAについてもこれまで十分効果的なものが得られておらず現在検討を継続中である。
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