研究概要 |
培養心筋細胞(H9c2細胞)においてIGF-1受容体、エンドセリン(ET)受容体刺激による細胞壊死抑制効果の特徴を評価するためにantimyicin A(AA)の用量とapotosis,necrosisとの関係、IGF-1ならびにETの細胞保護効果の用量依存性につきflow cytometryを用いて解析した。種々の条件で実験を行ったが、いずれの条件でも障害された細胞では接着した状態からの分離に伴う細胞死が惹起され、細胞死量を過大評価することが明らかとなり、H9c2細胞を用いた細胞障害の解析には適さない方法であると考えられた。ミトコンドリアにおけるコネキシン43(mCx43)の機能制御に関与する分子としてmicroRNA199a(miR199a)を想定し、miR199a antagomirのAkt,GSK-3βへの影響、IGF-1,ETによる細胞保護効果への影響を解析した。その結果、miR199a antagomirはHIF-1αの発現を亢進させたがAkt,GSK-3βのリン酸化に有意な影響を与えなかった。しかし、miR199a antagomirによるmiR199aの抑制はIGF-1,ETと同様にAAによるapoptosis,necrosisからH9c2細胞を保護し、その効果はIGF.-1,ETの併用によっても増強されなかった。これらの成績よりmiR199aは細胞死制御に重要な分子であると考えられ、現在mCx43の発現ならびに機能とmiR199aの機能、cyclophilin-Dとmitochondrial permeability transition poreの構成蛋白であるadenine nucleotideとの蛋白蛋白相互関連におけるmCx43、GSK-3β、miR199aそれぞれの役割について検討を継続中である。
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