研究課題
[目的]近年報告された新しいサイクリックAMP(cAMP)活性化因子Epac(exchange protein directly activated by cAMP)の心不全発症における役割を解明するため、平成20年度内にEpac1ノックアウトマウス(Epac1KO)を作製し、平成21年度内にEpac1KOを用いて心不全マウスモデル(慢性カテコラミン刺激)で解析を行ったところ、Epac1KOは心不全発症が抑制された。平成22年度はラット胎児培養心筋細胞ならびに慢性圧負荷刺激心不全マウスモデルの心臓組織を用いてEpac1KOの心不全発症抑制作用について検討した。[方法ならびに結果]1)ラット胎児培養心筋細胞を用いた検討:Epac特異的刺激作用をもつ8-(4-chlorophenylthio)-2'-O-Me-cAMP-AM(8-CPT-AM)でラット培養心筋細胞を2時間刺激(10μM)するとホスホランバンのPKAによるリン酸化(Ser16)部位のリン酸化が約4倍有意に亢進した。またProtein kinase C(PKC)抑制剤(Ro-31-7549)(1μM)存在下ではその効果が見られなかった。2)Epac1KOでの検討:Epac1KOの心臓組織ではホスホランバンのリン酸化(Ser16)はコントロールマウス(WT:wild type)に比較して有意に抑制されていた。3)Epac1KOを用いた大動脈狭窄による慢性圧負荷心不全マウスモデルでは、コントロールマウスに比較してEpac1KOではWTに比較してアポトーシス陽性心筋細胞の割合、心筋線維化領域、アポトーシス促進タンパクであるBAXの発現量は有意に抑制されていた。以上の結果からEpac1KOで心不全発症が抑制されたメカニズムの一つとしてホスホランバンの過剰なリン酸化が抑制されたことが原因であることが示唆された。
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J Biol Chem
巻: (In press)
Cure Drug Metab
Circ Res
巻: 106 ページ: 1882-1892
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