研究課題
心筋特異的SOCS3欠損マウス(SOCS3-CKO)の心不全発症において、gp130経路がその原因となっているか否かを調べるために心筋特異的gp130/SOCS3欠損マウスを作成した。その結果、心筋特異的にgp130を欠損させることによって、SOCS3-CKOの心不全はレスキューされた。この実験によって、gp130単独の心筋特異的欠損マウスも生後8~10ヶ月で、SOCS3-CKOとは異なるタイプの心不全で死亡することが明らかとなった。心不全発症の機序を調べるためにマイクロアレイ解析を行った。その結果、ある種のイオンチャネルの発現が変化し、そのことにより致死性の不整脈が誘発されることを見いだした。現在、論文投稿中である。次に、.心筋特異的SOCS3欠損によって、急性心筋梗塞後の心不全発症が予防されるメカニズムについて検証した。SOCS3-CKOにおいて、STAT3リン酸化の遷延にともない、心筋アポトーシスの抑制、血管新生の亢進が確認できた。また、電顕での観察、チトクロームCやTFAMのウエスタンブロットの結果、SOCS3-CKOにおいてミトコンドリア機能が維持されていることが明らかになった。また、このモデルにおいて心筋障害を抑制している複数のサイトカインを同定した。さらに、SOCS3-CKOにサイトカインを投与すると、サイトカインによる梗塞後心筋リモデリング抑制効果とSOCS3欠損による抑制効果による相乗効果があることを見いだした。このことは、心筋梗塞によるサイトカイン療法の効果を増強するために、心筋細胞のSOCS3を抑制することが有効であることを示しており、臨床的にも重要な知見であると考えられる。この結果も現在論文投稿中である。
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