平成20年度の研究において、主に1)血管新生過程におけるIdlの結合ターゲット分子とその下流分子及びその制御メカニズム、さらに2)それを機能的にin vitroにおいて評価可能な培養系を構築する事の2点に焦点を絞り研究を行った。 1)新生血管内皮細胞におけるIdlのターゲット分子・下流分子の同定マウス大動脈片のタイプ1コラーゲン内3次元培養系による血管新生評価系にて、新生血管内皮細胞におけるIdlの核内発現強度は均一でなくheterogenityを示していたDこのIdlの発現パターンはマウス胎仔脳内新生血管においても同様であった。この結果から新生血管内皮細胞においてIdlとNotchのクロストークの可能性を推定し培養細胞系にて検討を行った。その結果、IdlはHLH転写因子Hey2を含めたいくつかの重要なNotch下流分子を負に制御していることが解った。さらに、その下流分子の一つの制御機構にはHey2の発現上昇が関与していた。これらの結果はIdlとNotchシグナル経路のクロストークによる新規血管新生制御メカニズムの可能性を示唆するものであり大変興味深い。現在IdlによるNotchシグナル制御機構の詳細、Idl発現がheterogenityを来すメカニズムとその血管新生における意義を中心に検討を続けている。
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