研究概要 |
本研究では血管内皮細胞(EC)および平滑筋細胞(VSMC)にウイルスベクターを用いてMR, GRを過剰発現させた細胞を用い、1)血管細胞においてMR活性化を介してゲノミック作用で発現誘導される遺伝子をプロテオーム解析の手法により蛋白レベルで検索、2)MR(およびGR)過剰発現細胞を用い,血管細胞におけるMR活性化を介したノンゲノミックな作用を検討し、また動物実験レベルでの検討も予定している。まず初年度はヒト血管内皮細胞株EAhy926を用い、アデノウイルスベクターおよびレトロウイルスベクターによる遺伝子導入を行った。(MR-EAhy1,2)。アデノウイルスによるMR遺伝子導入は一次ウイルスのレベルでMR発現が確認されたが、その後のウイルス増幅の過程でMR発現量の力価が上がらず、実用困難であったことと、MR依存性転写活性の検出に用いる3xGRE作動-Luciferase(LUC)ベクターを、同細胞への極めて遺伝子導入効率の問題よりアデノウイルスベクター化せざる得ない状況もあり、レトロウイルス(pMX-IP, PLAT-A:共に東大医科研、北村教授より分与)による遺伝子導入に変更し、最終的に2系統のMR遺伝子導入EAhy926細胞株を確立した。これら2系統の細胞とも、生理的血中濃度3x10^<-10>M-10^<-9>Mのアルドステロンにより、3~8倍の3xGRE-LUC活性と、上皮細胞でのMRの一次応答遺伝子のひとつであるserum and glucocorticoid inducible kinase(SGK)-1の2~4倍のmRNA発現誘導を示した。現在、よりアルドステロンへの反応が顕著なMR-EAhy2に対し、10^<-9>Mのアルドステロン刺激の有無によるトランスクリプトーム解析をAgilent社DNAマイクロアレイにて解析中である。
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