研究概要 |
本研究では血管内皮細胞(EC)および平滑筋細胞(VSMC)にウイルスベクターを用いてMR,GRを過剰発現させた細胞を用い、1)血管細胞においてMR活性化を介してゲノミック作用で発現誘導される遺伝子を網羅的手法(プロテオーム、DNAマイクロアレイ)で解析し、2)MR(およびGR)過剰発現細胞を用い,血管細胞におけるMR活性化を介したノンゲノミックな作用を検討し、また動物実験レベルでの検討も予定している。本年度は昨年度に確立したレトロウイルスによるMR遺伝子導入EAhy 926細胞株の解析を行った。MR-EAhyではMR依存性の転写活性能が増強されており、生理的濃度のアルドステロン刺激(10-9M)、非刺激下の本細胞株の遺伝子発現動態の差異をAgilent社DNAマイクロアレイ解析した。Aldo刺激により有意(P<0.05)に変動した遺伝子は発現増加群(187)、減少群(176)認められ。そのうちの上位のものにつき、realtime RT-PCで発現確認を行った。これらの遺伝子群には血管新生関連因子(Angpt1)、内分泌代謝関連遺伝子(CRLR, adrenomedullin, α 1-adrenergic receptor, IGFBP-3)などが含まれており、これらの遺伝子産物のAldoによる心血管障害における病態生理学的意義につき解析を進める予定である。関連して、原発性アルドステロン症では、高アルドステロン血症により血管内皮脳障害が生じることを報告した。
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