研究概要 |
今年度は、老齢PAI-1遺伝子ノックアウト(KO)マウスがすぐに入手できなかったので、本学動物実験施設にて若年の野生型及びPAI-1遺伝子KOマウスの飼育を続けている所である。 1. PAI-1遺伝子KOマウス及び野生型(WT)マウスのPCRによる遺伝子型の確認 老齢マウスになるまで長期間飼育を続けるため、若年齢のうちに遺伝子型を確認しておく事は重要である。我々は、2〜3mmの尾から抽出したDNAを用いて遺伝子型のチェックを行なった。野生型雄8匹、雌3匹、PAI-1 KO雄8匹、雌4匹を検索した所、いずれのマウスも,野生型は415 bpのWT特異的なバンドが,KO型は190 bpのKO特異的なバンドが検出され、遺伝子型が正しい事を確認した。 2. PAI-1 RNAに対する候補配列をもつsiPAI-1のノックダウン効率の検定と同定されたノックダウン効率のよい配列を持つsiRNA発現ベクターの構築 PAI-1 RNAに対する合計5種類のsiPAI-1を合成し、そのノックダウン効率の検定をリアルタイムPCR法並びにウェスタンブロット法にて行なった。siRNA5種類のうちsiRNA No.2, No.5が最も効率よくPAI-1 mRNAをノックダウンさせ、ウェスタンブロットではほとんど発現ゼロにまで抑制した。またsiRNA No.1, No.3, No.4は中等度の抑制効果を示した。これらの事からsiRNA No.2の塩基配列を基にsiRNA発現ベクターを構築する事とした。 3. 培養血管内皮細胞に対するsiRNAトランスフェクションの効果の検証 培養内皮細胞UV♀2を用いて、老化マーカーの一つであるSA-β-gal染色を行なった所、コンフルエントになってから、時間の経過とともに染色される細胞の数が増加した。また、これらに呼応する様にp16タンパクの発現量も増加した。PAI-1 siRNAを一過性に発現させた細胞では、ネガティブコントロールのsiNegをトランスフェクションしたものに比べ、120時間後のSA-β-gal染色が弱くなる傾向があった。しかしながら、p16タンパクの発現量は同等位であった。現在、再現性を確認している。
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