研究概要 |
1. shRNA-PAI-1安定発現ノックダウン(KD)細胞株における解析 前年度に作成したPAI-1 KD細胞株を用いて以下の項目について検討した。 1) PAI-1 KD効果の検証 PAI-1 KD効果をmRNAレベルとタンパクレベルで検証した結果、2種類のKD細胞株では、mRNA,タンパク共にコントロールの10%以下にまで発現抑制されていた。 2) 細胞周期関連因子の発現に対する影響 細胞老化に関わるCDKIの内、p16^<INK4a>、p21^<CIP/KIP>の発現は、WTの細胞では培養経過に伴い上昇する傾向であったが、PAI-1 KD細胞では上昇しなかった。p19^<ARF>の発現パターンは変化がなかった。 3) β-Gal染色に対する影響 PAI-1 KD細胞では、細胞老化の1つの指標であるβ-Gal染色の度合いが減弱すると予想されたが、実際はコントロールと同等か少し染色度が増した細胞株もあった。 2. 老齢PAI-1ノックアウト(KO)及び野生型マウス、若齢PAI-1 KO及び野生型マウスの各々の大動脈血管RNAを用いたマイクロアレイによる網羅的発現解析 老齢マウスは野性型、ノックアウト共に1年3ヶ月齢のものを、また若齢マウスは8週齢のものからAortaのRNA抽出を行い、Mouse Genome 430 2.0 Arrayを用いて解析を行った。野性型では、老齢マウスは若齢マウスに比べ、PAI-1を始めとし、MnSOD、Hsp等が増加し、GST、Troponin等が減少していた。また老齢PAI-1 KOマウスでは、発現増加していたものが低下するパターンが見られた。これらの発現を定量的PCRによって確認すると共に、その生物学的意義を検索している。
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