研究概要 |
私達は新しい治療法の開発には未知の血管新生制御因子・機構の解明が必須であると考え、シグナルシークエンストラップ法を用いて血管内皮細胞に発現する未知の分子の単離を試みた(J Biol Chem.2004Dec31;279)。その結果、血管内皮細胞に高い発現を示す全く未知の遺伝子を発見し、BLADEと名付けた。本研究期間にYeast-two hybrid法による結合蛋白のスクリーニングや詳細な機能解析を行った結果、本遺伝子は抗アポトーシス分子であるcIAP-1,cIAP-2のプロテアソームにおける分解を制御することで血管内皮細胞のアポトーシスを制御することが明らかとなり、本遺伝子をApoptosis Regulator through modulating IAPs expression(ARIA)と改名した。さらにARIAの機能を抑制することで血管内皮細胞のアポトーシスが抑制され、その結果虚血性網膜症モデルの網膜血管新生および腫瘍移植モデルの腫瘍内血管新生が有意に促進されることを見出した。また昨年度中にARIA(BLADE)のノックアウトマウス作成に予定通り成功した。ARIA(BLADE)の機能制御による血管新生の人為的操作は既存の手法とは全く異なるため、単独あるいは既存の手法と組み合わせることで著明な治療効果の改善をもたらすことが期待される。
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