冠動脈疾患の末梢血単核細胞でのmiR-146a/bの挙現とスタチン・RAS阻害薬による薬効評価 背景:冠動脈疾患(CAD)の発症には、単球・マクロファージなどの免疫担当細胞でのToll様受容体4(TLR4)シグナルの活性化が関与していると考えられている。近年、microRNA(miR)-146 family(miR-146a/b)が、TLR4下流シグナル分子の発現を調節因子として注目されている。 目的と方法:CAD群および非CAD群でのTLR4およびmiR-146a/bの発現を比較検討した。また、無作為臨床試験により、TLR4シグナルに対するRAS阻害薬とスタチンの効果を検証した。CAD群(n=66)および非CAD群(n=33)の末梢血液から遠心分離法により単球を分離した。Real-time PCR法により、miR-146a/bおよびTLR4 mRNAを定量測定した。また、FACSscanを用いてTLR4蛋白を定量測定した。CAD群は、ARB投与群(ARB+スタチン)およびACEI投与群(ACEI+スタチン)にランダム化し無作為臨床試験を実施した。 結果:CAD群でのmiR-146a/bおよびTLR4 mRNAの発現は、非cAD群より高値であった(P<0.01)。また、miR-146a/bとTLR4 mRNAの発現には、正の相関を認めた。投与6ヵ月後のmiR-146a/bとTLR4の発現は、ARB群およびACEI群でともに減少し、これらの変化は、ARB群で有意に大きかった(P<0.05)。また、6ヵ月後のmiR-146a/bおよびTLR4 mRNAの発現は、心血管イベント合併群で非合併群と比較して有意に高値であった(P<0.05)。 結語:単球でのmiR-146a/bおよびTLR4の発現の亢進は、CAD発症の一因であることが示唆された。また、ARBとスタチンとの併用療法は、miR-146a/bおよびTLR4の発現を抑制し、ARBおよびスタチンが持つ抗動脈硬化作用のメカニズムの一つと考えられる。
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