研究課題/領域番号 |
20590887
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
上羽 洋人 自治医科大学, 医学部, 講師 (80316546)
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研究分担者 |
川上 正舒 自治医科大学, 医学部, 教授 (40161286)
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キーワード | エリスロポエチン / アゴニスト / 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / アポトーシス / シグナル伝達 / WHHLMIウサギ |
研究概要 |
本研究の目的は、エリスロポエチン受容体アゴニスト(EPORA)のin vivoにおける抗動脈硬化作用を検討することである。動物実験室renewal後の換気設備不具合により当施設ではウサギの飼育が困難となったため、神戸大学医学部附属動物実験施設の塩見准教授およびスタッフの協力を得て、実験を開始している。高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞を自然発症するモデル動物であるWHHLMIウサギを用いて、EPORA群には30μg/kgのEPORAを3回/週、32週間皮下投与し、コントロール群には同量のプラセボペプチドを投与した後、安楽死させて大動脈および心臓等を摘出し、動脈硬化病変の進行がEPORAによって抑制されるか否かを評価する。各群4匹で開始しているが、病理学的所見、血清脂質および炎症所見などの推移をみて、個体数をさらに増やす予定である。また、EPORAの抗動脈硬化作用に関するメカニズムを調べるため、既報(Atherosclerosis.2008 Jan; 196(1):129-35.)の実験系を用いて血管内皮細胞のアポトーシスに対するEPORAの効果を検討した。CRPは動脈硬化のriskfactorであると同時に内皮細胞のアポトーシス惹起物質であり、CRPによる内皮傷害に対するEPORAの効果をみることはEPORAの抗動脈硬化作用を評価する上で意義がある。アポトーシスの評価は蛍光標識したannexin Vを用いてFlow cytometryにより行った。CRP(10μg/ml)は培養ヒト臍帯静脈内皮細胞にアポトーシスを惹起したが、EPORA(2.5-25ng/ml)はこれを有意に抑制した。さらに、この抑制効果はエリスロポエチンのアポトーシス抑制効果より有意に強力であった。CRPはまた、内皮細胞のずり応力応答性一酸化窒素産生を減弱させ、さらに単球におけるmatrix metalloproteinase-9の産生を亢進させて動脈硬化病変の発症・進展に寄与すると考えられており、現在CRPのこれらの作用に対するEPORAの効果を検討中である。
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