研究課題
慢性喫煙と加齢は肺気腫発症の主要な危険因子である。アポトーシス細胞のクリアランスは組織の保持や炎症収束に重要であり、アポトーシス細胞の認識・貧食関連受容体をもつマクロファージはその中心的役割を果たす。肺気腫においては、肺内に多くのアポトーシス細胞が認められ、このことが、病態形成に重要であることが報告されている。その機序のひとつとして、肺気腫患者の肺胞マクロファージは、アポトーシスに陥った細胞を処理する能力が低下している可能性が示唆されている。本研究では、マクロファージの細胞表面に発現するアポトーシス細胞の認識/貧食に関わる様々な受容体が、喫煙や加齢の影響でどのように修飾を受けるのか、また、それぞれの相対的重要性を明らかにする。肺気腫患者のAMはアポトーシス細胞貧食能とVEGF発現の低下が報告されている。今年度、我々は、若年者18名、中高年者23名を対象に気管支肺胞洗浄により採取されたAMにおけるアポトーシス細胞クリアランス関連受容体発現を定量的RT-PCR法で測定し、加齢と喫煙の影響、VEGF発現量との関連を検討した。加齢により、AMのphosphatidylserine receptor(PSR)、vitronectin receptor、calreticulin、scavenger receptor A(SR-A)発現は上昇し、若年者の中では、喫煙者AMではcalreticulin、SR-A、CD14発現は非喫煙者に比較し上昇するが、一方中高年者では、喫煙者のPSR、vitronectin receptor、SR-A発現は低下した。加齢・喫煙はアポトーシス細胞クリアランス関連受容体発現に影響する。
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