本研究は、主に動物(マウス)を用いて、気道リモデリング、肺気腫の形成におけるオステオポンチンの効果を検証する事を目的とする。 平成20年度は、オステオポンチンのインテグリン結合部位を阻害する中和抗体が、マウス好酸球性気道炎症を抑制し、また、オステオポンチンは、ヒト好酸球の遊走能を有し、更には、同抗体がその遊走能を阻害することを見出し、論文として報告した(Clin Exp Allergy2009)。平成21年度は、同抗体が気道リモデリングを阻害する可能性について検討する予定である。この研究の前段階として、卵白アルブミンの週3回、8週間の投与により、気道周囲の線維化、粘液産生亢進、気道平滑筋の肥厚を呈することを確認した。現在、このモデルに同抗体を投与し、気道リモデリングの抑制効果について検討中である。同抗体が、気道リモデリング抑制効果を有する場合には、オステオポンチンや同抗体が繊維芽細胞増殖や粘液産生亢進に及ぼす影響についても検証する予定である。また、気道過敏性測定装置を用い、同抗体が、気管支喘息治療の臨床応用への可能性についても検証をおこなう予定である。 肺気腫におけるオステオポンチンの関与については、既に、マウスにおける喫煙短期暴露(10週間)、長期暴露(4か月)により、血清中及び気管支肺胞洗浄液中のオステオポンチン濃度が上昇することを確認した。現在、オステオポンチン欠損マウスにおける肺気腫形成の程度を確認中である。
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