研究課題/領域番号 |
20590894
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
廣瀬 晃一 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90400887)
|
研究分担者 |
渡辺 紀彦 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (20375653)
池田 啓 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10456014)
|
キーワード | 気管支喘息 / 真菌 / Dection-1 / β-glucan / IL-10産生性T細胞 / Th17細胞 |
研究概要 |
本研究者らは、喘息の重症化機構を解析し、IL-17産生性CD4陽性T細胞(Th17細胞)がTh2細胞依存的なアレルギ-性気道炎症を増悪させることを明らかにした(Wakashin et al. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2008)。一方近年、真菌由来β-glucanの認識機構であるDectin-1経路がTh17細胞の分化を誘導することが報告された。他方、Th17細胞依存性実験的脳脊髄炎の発症はDectin-1経路の活性化により抑制されることが報告されており、獲得免疫応答におけるDectin-1経路の役割の詳細は依然不明である。そこで本研究では、CD4陽性T細胞分化、さらに気管支喘息の病態におけるDectin-1経路の役割の解明を目的とした。 平成20年の研究では、まずCD4陽性T細胞分化に対するDectin-1刺激の効果を検討した。その結果、Dectin-1刺激は抗原特異的Th1、Th2、Th17細胞の分化に影響しない用量で、IL10産生性T細胞の分化を著明に促進させることが明らかとなったこのDectin-1刺激により誘導されたIL10産生性T細胞はFoxP3陰性であり、制御性T細胞とは異なる細胞集団と考えられた。また、Dectin-1刺激によるIL-10産生性T細胞の分化誘導には抗原提示細胞の存在が必須であることから、抗原提示細胞に対するDectin-1刺激が、IL-10産生性T細胞の分化誘導に必須と考えられた。さらに、ICOSL抗体を用いた中和実験により、Dectin-1刺激によるIL-10産生性T細胞の分化にはICOS-ICOSL経路が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。平成21年度の研究では抗原提示細胞を介したIL-10産生性T細胞の分化誘導機構の解明とともに、アレルギ-性気道炎症におけるIL-10産生性T細胞の役割の解明を目指す。
|