研究概要 |
平成20年度は、喫煙曝露によるTh17活性化の経時的評価を行った。 まず、肺気腫病変形成後の免疫応答に関して、我々がこれまでに同定してきた、肺気腫発症の感受性マウス(C57BL6)、肺気腫発症抵抗性のマウス(C57背景のThioredoxin過剰発現マウス)、及びThioredoxinの制御蛋白であるThioredoxin binding protein-2(TBP-2)の過剰発現マウス(感受性の亢進が想定される)を用い検討を行った。マウスに喫煙曝露を6ヶ月行い(1日あたりタバコ10本・50分、週5日間)、その後マウスのT細胞性免疫に関して、Th1,Th2,Th17免疫応答の指標として、肺組織のIFN-g、IL-4、IL-17 mRNA発現をreal-time PCRで検討した。その結果、感受性マウスであるC57BL6においてのみ肺のIL-17発現が亢進していることがわかった。抵抗性マウスでは、喫煙の有無にかかわらず、加齢と共にIFN-gの発現が亢進している結果となり、これによりTh17免疫応答の抑制がかかっていることが示唆された。 更に喫煙初期の免疫応答に関して、感受性マウスであるC57BL6において、経時的な観察を行った。喫煙前から4週間後までの間に、定期的に肺組織及び脾臓の単核球を分離し、フローサイトメータにてCD4陽性T細胞のTh17,Th1分画の増減を検討した。その結果肺組織では一過性のCD4陽性IL17陽性T細胞の出現を認めたが、時間と共にその数は減少していくことが見出された。前述の結果とあわせ、IL17産生細胞としてCD4陽性T細胞以外のソースの存在が示唆される結果となった。
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