研究課題/領域番号 |
20590895
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
星野 勇馬 京都大学, 医学研究科, 助教 (00378746)
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研究分担者 |
室 繁郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (60344454)
伊藤 功朗 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (40447975)
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キーワード | COPD / 自己免疫 / Th17炎症 / 喫煙 |
研究概要 |
関節リウマチをはじめ様々な慢性炎症性疾患の自己免疫帰転として提唱されているTh17炎症と、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態の関連について検討を行った。 我々のこれまでの検討で、喫煙により肺気腫を発症することが証明されているマウスの系においては、喫煙曝露開始約2週間後から脾臓と共に、好中球性炎症の局所である肺のTh17細胞の増加を認めたが、非喫煙群ではTh17細胞の増加を認めなかった。また肺気腫発症抵抗性マウスでは、喫煙によるTh17の誘導を認めなかった。 Th17誘導の原因として、喫煙による肺構成成分の分解産物の免疫原性を想定し、喫煙マウス肺のlysateまたはエラスチン分解ペプチドをアジュバントと共にマウスに投与し、その後喫煙曝露チャレンジを行ったが、有意なTh17炎症の増強を認めなかった。 vivoでの感作は困難と考え、in vitroで脾臓細胞をTGF-beta、IL-6、IL-23存在下にタバコ煙抽出物質、若しくは喫煙抽出物質処理した肺のlysateに曝露することでTh17細胞を誘導した。このTh17細胞を含む細胞浮遊液をマウスに投与~感作した上で喫煙チャレンジを行ったが、明かなTh17炎症の増強を認めなかった。同様な検討を樹状細胞に関しても行ったが、喫煙チャレンジによるTh17炎症の増強を認めなかった。 以上より、喫煙による肺気腫発症とTh17炎症の関連が証明されたが、その因果関係に関して直接証明するには至らなかった。Th17細胞の単離・精製後の移入の効果、またTh17抗体投与による喫煙炎症の抑制など、今後検討の余地があると考える。
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