研究概要 |
培養細胞レベルで肺胞上皮細胞にEMTが起こることを示し、次にEMTにおける転写抑制因子Snail/Slug発現に至る転写経路(Smad2/3, ERK pathway)を明らかにし、これらの経路がEMT後の細胞機能 (migration/invasion)に及ぼす影響を調べることを目的としている.Cell line (BEAS-2B細胞)を用いてTGF-betaの刺激を行ったところ,E-cadher inやCK-18の発現の低下,Fibronect in発現の増加が確認され,EMT現象が起こっていると考えられた.次いで,COPD患者の肺組織から気道上皮細胞を分離して同様の確認をするために,分離培養を行った.また,肺組織の凍結検体を収集中で,現在患者数を増やしているところである.次いで,遺伝的情報のみでEMTが起こるのか,喫煙などの環境因子が必要なのかを確認するために,COPD患者と健常者の皮膚線維芽細胞からiPS細胞を誘導し,iPS細胞から分化誘導した気道上皮細胞で同様のEMTが惹起されるかをみることを目的としている.この準備として,COPD患者の皮膚および肺組織から線維芽細胞を確立し,iPS細胞を誘導した.また,CCSP(Clala細胞)やSP-C(II型肺胞上皮細胞)をはじめとして末梢肺を構成する細胞の特異的マーカー蛋白遺伝子のプロモーター領域と分化誘導時の指標となるGFPなどのレポーター蛋白遺伝子を組み合わせてiPS細胞に導入するためのベクターを開発した.
|