H20研究実績報告書では、CD9ノックアウト(KO)マウスから分離したマクロファージを用いて、CD9がin vitroでLPS刺激によるマクロファージの炎症反応を抑制していることが示した。今回はCD9がin vivoにおいてもLPSによるマクロファージの活性化を制御するかどうか、WTマウスとCD9 KOマウスにLPSを経鼻投与した。LPS投与4日後の肺の形態に組織学的な差は見られなかったが、KOマウスでは気管支肺胞洗浄液中の細胞数、特にマクロファージの増加を認めた。肺から分離したマクロファージを培養すると、CD9 KOマウスでは活性化してspreadしたマクロファージを多く観察された。また肺胞洗浄液中のTNF-αとMMP-2、-9活性の上昇も認めた。網羅的解析の結果、KOマウス肺ではTNF-αだけではなく、(有意差は検出されなかったが)MIP-1α、G-CSF、IL-6、IL-12など他のマクロファージサイトカインの上昇傾向を認めた。これらの結果から、CD9はin vivoにおいても肺胞マクロファージの活性化に対して負の調節をしていることが示唆される。 今後は、ヒト臨床検体を用いた解析を行う予定である。
|