気管支喘息の慢性気道炎症におけるNF-kappaBの関与を確認するためIKKβ阻害剤であるIMD-0354を用いて検討を行っている。 (1)ダニ抗原感作マウスの作成について 5週齢BALB/Cマウスにダニ抗原を腹腔内に注入し感作した後、ダニ抗原を4週間、隔日で経鼻投与し、喘息マウス慢性期モデルを作成した。モデルの妥当性を確認するため気道過敏性、気道の基底膜下の線維化の状態について検討した。長期抗原吸入モデルにおいても、抗原吸入により気道抵抗が上昇すること、基底膜下の肥厚などを認め本モデルで検討を行うことの妥当性を確認した。 (2)IMD-0354投与の影響について 上記で作成したモデルに感作後より連日IMD-0354を投与する群、抗原暴露4週後より投与する群と非投与群を作成した。抗原暴露後の気道抵抗、気道の病理学的な変化、サイトカイン産生に対する影響について詳細な検討を行った。気道抵抗は侵襲的気道抵抗測定法においてもIMD-0354により軽度抑制することを確認した。病理学的検討ではIMD-0354は気道粘膜下の好酸球浸潤や上皮の杯細胞化生、気道粘膜下線維化層の肥厚、collagen沈着を抑制した。BALF中のTGF-βも低下を認め、IL-1β産生やTh2cytokineであるIL-13産生の抑制もみられた。 以上の結果から、IKKβ阻害剤であるIMD-0354が慢性喘息に見られる諸病態を改善する可能性が示唆された。
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