平成20年度は、(1)より良好な肺気腫モデルマウスの作成とその機序の解明、そして(2)アポトーシス細胞の貪食を改善させる分子や薬剤についてより詳細な検討を加えるという二点に重点をおいた。 (1)当初予定したMFG-E8ノックアウトマウスについては、過剰なMFG-E8の存在が逆にアポトーシス細胞の除去を悪化させることが判明し断念した。次に、アポトーシス細胞の貪食除去が障害されているとされるNODマウスにおいて、膵エラスターゼの投与によって肺気腫モデルを作成したが、2週間までに正常マウスと大きな差なく、より長期間の観察となると体格の差などから不適切であると判断した。 次に、 LPSによる急性炎症の終息を観察し、その障害がどのような組織変化を及ぼすかを検討した。また、共同研究者はLPSによって、 RAGEノックアウトマウスにおいて軽度の気腫性変化をきたすことを発見し、その機序と治療の可能性についての検討をおこなった。これまでにアポトーシス細胞の貪食が影響している可能性が高く、より詳細に検討を加え、治療実験への準備を行っている (2)アポトーシス細胞の貪食除去の障害から肺気腫を来すという仮説は、これを改善することによって肺気腫を治療することができるという目標をめざすものである。MFG-E8の過剰投与が逆の働きをすることをうけ、動物実験と平行して、 MCP-1のアポトーシス細胞貪食における作用を細胞生物学的に詳細に検討した(投稿準備中)。
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