平成21年度は、(1)新規肺気腫モデルマウスの作成とその機序の解明、そして(2)アポトーシス細胞の貪食を改善させる分子や薬剤についてより詳細な検討を加えるという二点に重点をおいた。 (1) STZ投与により惹起された糖尿病マウスにおいては、気腔の拡大が見られることを見いだした。この原因として、肝細胞増殖因子の産生低下、細胞内飢餓が原因として考えられ、小胞体ストレスとの関連などについて検討を加えている。 また、共同研究者はLPSによって、RAGEノックアウトマウスにおいて軽度の気腫性変化をきたすことを発見し、その機序と治療の可能性についての検討をおこなった(投稿準備中) 炎症終息機序の破綻そのものが、気腫化につながる可能性を考慮し、来年度に向けて動物モデルを構築している。 (2) アポトーシス細胞の貪食除去の障害から肺気腫を来すという仮説は、これを改善することによって肺気腫を治療することができるという目標をめざすものである。引き続き、肺気腫の動物実験と平行して、MCP-1のアポトーシス細胞貪食における作用を細胞生物学的に詳細に検討した(投稿準備中)。
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