研究課題/領域番号 |
20590904
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
友田 恒一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90364059)
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研究分担者 |
大崎 茂芳 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90273911)
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80271203)
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
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キーワード | ヒト肺構造 / 呼吸運動 / 力学負荷 / コラーゲン線維 / 配向性 |
研究概要 |
我々の肺組織は呼吸運動によって、周期的で、方向によって異なった大きさの力学的負荷を受ける。この不均一な力学負荷を受ける肺組織の構造を明らかにすることは、肺の持つ力学的機能を考える上で極めて重要なことである。本年度はヒト肺を冠状断面および水平断面に平行に切断したシート状サンプルで力学強度およびコラーゲン線維の配向性を計測した。 <実験>試料として病変のないホルマリン固定された剖検肺を用いた。右は水平方向、左肺は冠状方向に切り出して各々3つのシート状サンプルを調製した。その中の一サンプルのコラーゲン線維の配向度をマイクロ波方式を用いて測定した。残り2枚のサンプルは蒸留水に浸漬し48時間後に、それぞれ上下方向とそれに垂直な方向にストリップ状(5mm×15mm)に切り出した。各切片の持つ破断強度を測定し、上下および垂直方向に対するヒト肺の弾性強度分布図を作製した。 <結果>ヒト肺の冠状方向に切断したシート状サンプルで得られた配向度と力学的異方性の間でほぼ直線関係が得られ、マイクロ波方式によって得られるデータは、力学的異方性を反映していることが分かった。この結果は、ヒト肺組織は呼吸運動による伸縮運動に対応できるように力学的異方性を持っていることが理解され、力学的に重要な役割を果たすコラーゲン線維の配向性を調べれば、肺の力学的機能を評価できる可能性を示唆している
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