研究概要 |
1)杯細胞過形成に対する各種阻害薬の効果:気道上皮NCI-H292細胞において,TGFα刺激による杯細胞過形成は種々の阻害薬により多様性に障害を受け,本反応におけるRas-ERKカスケード,PI3 kinase, NFκB, phoospholipase Cγの関与が示唆された. 2)MUC5ACおよびBcl-2発現とアポトーシスの評価に関して:NCI-H292細胞をTGFα刺激の後,Alcian blue/PAS染色を行い,粘液糖蛋白分泌の発現亢進が観察された.また,Northern blotおよびWestern blotにより,MUC5ACとBcl-2のmRNAおよび蛋白質発現の誘導が認められ,さらに,in situ apoptosis detection kitを用いてTUNELを施行した結果,TGFα刺激によるアポトーシスの抑制がみられた. 3)気道上皮細胞におけるHB-EGFのprocessingとsheddingについて:NCI-H292細胞におけるHB-EGFの動態を検討するため,HB-EGFのprecursorである細胞膜結合型pro-HB-EGFのprocessingをフローサイトメトリーにて解析し,また可溶性HB-EGFのメディウム中への遊離をWestern blotにより確認した.前者は,細胞表面の硫酸プロテオグリカンによって捕捉されたHB-EGFを除去した後,FITC標識IgGとインキュベートしFACScanにより解析した.その結果,TGFα刺激により気道上皮細胞においてHB-EGFのprocessingとsheddingが起こり,これが直接の細胞増殖シグナルとなる可能性が示唆された.
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