研究概要 |
1) ラット喘息モデルの作成:SPF-Brown Norwayラットを用い,OVAを水酸化アルミニウムとともに,1週間隔で2回腹腔内投与し感作させ,その後1%OVAによる吸入チャレンジを連日行った.また,本実験系におけるEGFRの役割を検討するため,EGFR阻害薬であるAG1478の気管内注入を行った. 2) 杯細胞過形成の評価:気管および主気管支を摘出しAlcian blue/PAS染色とMUC5AC免疫染色を施行したところ,吸入チャレンジによりムチン陽性細胞の増加とともに,MUC5AC発現の誘導が観察された.これらの効果はAG1478投与により著明に抑制されたことより,杯細胞増生におけるEGFRリン酸化の関与が明らかとなった. 3) リン酸化EGFRの遺伝子および蛋白発現:上記のOVA感作およびチャレンジの効果が実際にEGFRのリン酸化を介しているかを確認する目的で,in situ hybridization法を用いて気管粘膜上皮層におけるリン酸化EGFR mRNAの発現を検討した.その結果,感作群においてリン酸化EGFR mRNAの発現が認められた.さらに,リン酸化EGFRのモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学的検討においても,リン酸化EGFRが蛋白質レベルでも発現が増加した. 4) 気道過敏性の評価:感作かつチャレンジを行った群ではPenh上昇の閾値の低下,および気道最大収縮反応の増大が認められ,杯細胞過形成との相関が明らかとなった.
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