研究課題
小細胞肺癌(SCLC)患者末梢血中におけるエフェクターCD4^+T細胞(Teff, CD62L^<low>T細胞)と制御性T細胞(Treg, CD62L^<high>CD25^+CD4^+T細胞)のCD4^+T細胞に対する比率、Teff/Treg比率と臨床病期の関連について検討した結果、限局型(LD)-SCLCではTeffが健常者コントロールに比しても増加しており、遠隔転移を持つ進展型(ED)-SCLCではTeffが全く増加していないばかりかTregが有意に増加していることを見出した。化学放射線療法により3年以上無再発生存している患者では、健常者に比しても高いTeff/Treg比を維持していた。一方、LD-SCLC患者であっても、遠隔転移により再発した患者はTeffが減少しTregが増加することでED-SCLC型のTeff/Treg比に変化していた。さらに、LD-SCLC患者で増加したTeffはTh17型の性質を有しており、同数のTeffで比較しても有意に多量のIL-17を産生することを明らかにした。LD-SCLC患者の単球からin vitroで誘導した樹状細胞はED-SCLCや健常者由来単球から誘導した樹状細胞に比べて多くのIL-23を産生した。以上よりLD-SCLCでは、健常者、ED-SCLCには見られないIL-23/Th17軸の活性化の結果、Treg誘導が抑制されTeff誘導が促進されていると考えられた。誘導されたTeffは小細胞肺癌細胞の腫瘍抗原特異的サイトカイン産生を示したことから、末梢血中で免疫学的障壁として転移を抑制していることが示唆された。以上の結果は、日本呼吸器学会総会において発表の後、Clinical Cancer Resarchに誌上発表した。
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