研究概要 |
遠隔転移を持つ進展型小細胞肺癌患者にみられず限局型小細胞肺癌症例に存在するTh17-CD4エフェクターT細胞が遠隔転移を防いでいる仮定すれば循環腫瘍細胞に対する抗腫瘍効果を担っている可能性高いと考え、浮遊で増殖する能力を持つ小細胞肺癌株の表面抗原を解析した。この結果、近年癌幹細胞マーカーとして知られているCD133が浮遊で増殖する細胞の90%以上に表出されていることを見出した。 一方、Th17-CD4エフェクターT細胞を誘導する癌幹細胞関連の標的膠原を解析するために、マウスメラノーマ腫瘍系においてプロテオーム解析を進めた。この結果、CD133+メラノーマ細胞に高発現する4つの蛋白質を同定した。その中の一つであるDEAD/H(Asp-Glu-Ala-Asp/His)box polypeptide 3, X-linked(DDX3X)はHCV感染肝細胞発癌に関連すると考えられている蛋白質であり、germ lineの細胞に発現することが知られている。私達は、このDDX3Xに着目し樹状細胞をアジュバントとして皮下接種を行った。この結果、親株腫瘍に対する有効な抗腫瘍効果が生じていることが明らかとなった。また、このDDX3Xが小細胞肺癌において発現しているかWBにより検討したところ解析した3つの小細胞肺癌株全てに発現がみられた。また、CD133+である浮遊増殖型の小細胞肺癌細胞では高発現が確認された。以上の結果は、2010年日本癌学会学術総会、及び2010年American Association for Cancer Researchにおいて発表した。現在、論文投稿中である。
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