EGFR遺伝子に変異を持つ肺癌細胞株NCI-H3255、NCI-H1650、HCC4006、HCC4011より、がん幹細胞の性質を有する細胞集団を分離するために、大腸癌などで、がん幹細胞の分離で用いられているCD133の抗体を使用しFACS装置にて、発現解析と分離を試みた。HCC4006、HCC4011において、CD133発現を有する細胞集団が存在することを確認し、その細胞集団を分離して、RT-PCR法で、ABCG2、cMyc、Oct4遺伝子などのABCトランスポーター、EMT、幹細胞などに関連している遺伝子の発現を検討した。また、無血清培地で培養するにより幹細胞の性質をもつ細胞が球状に増殖することが知られているが、HCC4006、HCC4011において、このような細胞集団を分離することが可能であり、それらの細胞を用いて、RT-PCR法において、同様な発現解析を行った。親株と比較して、EpCAMやIL-6遺伝子などの発現に差が生じていた。肺癌において、乳がん、脳腫瘍などを比較して、がん幹細胞を分離することが困難であることが知られているが、本研究では、EGFR変異腫瘍において、幹細胞を分離して、EGFR阻害剤の耐性との関連を明らかにしようと試みているが、いくつかの方法で幹細胞の性質を持つ細胞集団を分離しつつある。現在、EGFR阻害剤の感受性の変化やマイクロアレイを用いて網羅的な発現解析の準備中である。
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