間質性肺炎・肺線維症は肺胞周囲の間質に炎症が起こり、細胞やコラーゲンなどが増加し間質が厚くなり線維化するため、微小血管と肺胞間でのガス交換の障害を認めることにより低酸素血症や高二酸化炭素血症による呼吸不全を呈し、やがて死に至る難治性疾患群である。そのため以前から国内・国外で間質性肺炎・肺線維症に対する治療法の開発に関する研究が盛んに行われているが、未だに臨床応用できる有効な治療法がないのが現状であり、その予防および治療法の開発が急務である。 1、肺の線維化に対するATRAやサリドマイドの抑制効果について、実際の臨床応用に向けた詳細な肺線維芽細胞を用いたin vitro実験と、病態マウスを用いたin vivo実験<in vivo実験>すでにわれわれは放射線照射マウスモデルおよびブレオマイシン誘発性特発性肺線維症マウスモデルの系においてATRAやサリドマイドによる肺線維化抑制効果を組織学的に世界で初めて実証している。実際の臨床応用に向けてATRAやサリドマイドの1)投与方法、2)至適投与量、3)投与期間、4)投与時期、5)副作用出現頻度等についての詳細な検証中である。2、肺の線維化を抑制する他の薬剤の探索抗線維化効果が期待できるATRAやサリドマイド以外の薬剤をin vitro実験等にて探索し、現在ブレオマイシン誘発性特発性肺線維症マウスモデルの系において肺線維症抑制効果について検証中である。3、臨床サンプルを用いた検討特発性肺線維症や放射線性肺臓炎の患者からの血清や気管支肺胞洗浄液(BALF)などの臨床サンプルを用いて、炎症性、線維化および血管新生などに関与する各種サイトカインを定量し早期発見等のマーカーになりうる因子を探索するために、現在臨床サンプルを収集中である。
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