常染色体優性遺伝性多発性嚢胞腎(ADpKD)はPKD1遺伝子あるいはpKD2遺伝子の異常を原因とする、最も頻度の高い遺伝性腎疾患である。今回私たちは、ADPKDのモデル動物として、薬剤誘す起性のPkd1コンディショナルノックアウトマウスならびにPkd2遺伝子欠失変異体導入トランスジェニックメダカを作製・解析し、それを用いた薬効評価システムを確立することがこの研究の目標に定めた。 薬剤誘起性のPkd1コンディショナルノックアウトマウスでは、インターフェロン誘導にpolyinosinic-polycytidyhc acid(pI-pC)を用いた。その投与量・投与時期を検討した結果、投与量は10μg/Kgとし、投与時期を生後1週から投与開始した群において、投与後4週で嚢胞形成が著しく起こることが判明し、それを早期嚢胞形成群とした。一方、投与量は10μg/kgで、生後2週で投与開始した群において投与後4週では嚢胞は非常に少なかったが、約6ヶ月後にはヒトADPKDのような嚢胞が腎臓ならびに肝臓に認められ、これを後期嚢胞形成群とした。この両群において、その組織学的解析を進めていくとともに、薬効評価を行っていくこととした。また、Pkd1コンディショナルノックアウトマウスとROSA26マウスとの交配も進めており、今後その解析も行っていく。 またPkd2遺伝子欠失変異体を遺伝子導入したトランスジェニックメダカにおいて、生後1ヶ月〜5ヶ月まで1ヶ月ごとに組織学的に観察したが、嚢胞形成は経時的に増加していくことが観察された。また尿細管セグメントに関しては、近位尿細管だけでなく遠位尿細管からも嚢胞が発生していることが確認された。
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