研究課題/領域番号 |
20590964
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80311976)
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研究分担者 |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10343485)
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キーワード | 足細胞 / スリット膜 / シグナル伝達 / メサンギウム細胞 / SIRP / CD47 / 腎炎 |
研究概要 |
本研究では脱リン酸化酵素SHP1/2を細胞膜につなぎ止める働きをするSIRPα分子とそのリガンドであるCD47がそれぞれ糸球体足細胞とメサンギウム細胞に発現していることを新規に発見し、SIRP-α-CD47系が糸球体構成細胞間のシグナル伝達にどのように関与しているかについて病態モデル動物と新たに開発したラット糸球体構成細胞不死化培養株を用いて解析を進めることを目的としている。本年度は実施計画に従って研究を進め、以下のような結果を得た。 1) Thy1.1腎炎モデルにより傷害されたメサンギウム細胞より遊離したCD47が足細胞底部膜のendocytotic pitsに結合することに加え、そこにはSIRPαも同時に局在することを免疫電顕により明らかにした。 2) SIRPαとスリット膜分子ネフリンが直接結合すること、ネフリンのリン酸化はSIRPαが膜にリクルートするSHP1/2によって制御されていることがSHP1/2の阻害剤を用いた実験により明らかとなった。 3) 足細胞の形態変化によるSIRPαの局在の変化について免疫電顕により詳細に解析した結果、癒合部にはSIRPαは認められず、Ladder-like structureにSIRPαのシグナルがしばしば認められることが明らかとなった。このことから、SIRPαは足突起間における新たな細胞接着構造の形成には関与していないことが示唆される。以上の結果について、米国腎臓学会および米国細胞生物学会において報告し、論文としてまとめて、現在米国生理学会誌に投稿し、査読者の指示に従って内容を改正中である。
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