初年度である本年は、運動負荷条件等の検討を行った。マウス用強制運動負荷装置(トレッドミル)を用いる、または強制水泳により、URAT1ノックアウトマウス(ホモ接合型、KOマウス)及び野生型C57BL/6マウス(WTマウス)に対し、種々のレベルの運動負荷を加えた。トレッドミル装置での強制走行による運動負荷では、マウスによっては走行困難となる25m/minの走行速度においても、血中乳酸値は約6.0mmol/1であったのに対し、強制水泳ではWTマウスとKOマウスともに8.0-10.0mmol/1と血中乳酸値が著しく上昇した。この結果から、運動負荷法として強制水泳を採用した。次に、腎障害について検討した。指標として、血清クレアチニン、nephrin、megalin、Zf9、HIF-1α、KIM-1のmRNA量及び組織所見を用いた。その結果、強制水泳によっても、WTマウスとKOマウスともに上記指標に変化は認められなかった。腎性低尿酸血症における運動後急性腎不全の発症も、運動により必ず発症するわけではなく、脱水等の促進因子が加わったときに発症しやすくなると考えられている。さらにマウスでは、ウリカーゼにより尿酸からアラントインに代謝され、プリン代謝の最終代謝産物が異なることも影響している可能性もある。そこで、ウリカーゼの阻害薬であるオキソン酸と尿酸投与後の運動負荷実験及び脱水負荷後の運動負荷実験を行った。前者の実験により、一部の指標の上昇が認められた。しかしながら今回の実験では、まだ例数が少なく、また負荷条件の検討は、十分に行えなかった。これらの条件検討に関しては、次年度の課題とした。
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