研究概要 |
我々は、シクロオキシゲナーゼー1(COX-1)遺伝子欠失マウスが、正常マウスに比較して、高食塩食下で血圧上昇と多尿を示すことを明らかとした。本機序の一因として、プロスタグランディンE2(PGE2)-EP4受容体経路の役割に着目した。EP4はcAMP産生を介して水再吸収を促進することが報告されており、実際、選択的EP4作動薬は水再吸収を亢進するが、一方、Na 再吸収は亢進しなかった。Na再吸収の亢進を抑制する情報伝達経路として、選択的EP4作動薬が、培養腎皮質集合管(M-1)細でMAP kinase phosphatase-1(MKP-1)の発現とそれに伴うp38蛋白リン酸化の抑制を誘導すること、さらに、選択的p38 阻害薬が、Akt,Sgk1蛋白リン酸化を抑制することで、Na再吸収を抑制する可能性を明らかとした。本研究より、EP4受容体活性化の水再吸収の促進とNa再吸収の抑制機序の一端が示された。
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