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2009 年度 実績報告書

尿毒素物質による慢性腎臓病の進展機序の解明と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 20590974
研究機関島根大学

研究代表者

矢野 彰三  島根大学, 医学部, 講師 (80403450)

キーワード尿毒素 / 終末糖化産物 / 血管平滑筋細胞 / 血管石灰化 / 血管内皮細胞
研究概要

血管平滑筋細胞は細胞外液の高カルシウムおよび高リンの環境下では、血管平滑筋細胞としての性質を失い、骨芽細胞様の形質を獲得することによって、血管中膜を主座とするメンケベルグ型の血管石灰化をきたすことが知られている。われわれは、このことをヒトおよびラットの血管平滑筋細胞においても認められることをvon Kossa染色およびAlizarin Red染色により確認した。この実験モデルにおいて、終末糖化産物(AGE)およびペントシジンの効果を検討したところ、BSAのグリコールアルデヒド処理によって得られたAGE3が最も石灰化能が強く、グリセルアルデヒド処理によって得られたAGE2およびペントシジンでも弱いながら石灰化が認められた。培養細胞のCa沈着についてもほぼ同様の結果が得られた。また、このCa沈着は検討した範囲内において、AGEの処理時間および濃度依存的であった。
AGEはその受容体RAGEに結合し、下流のシグナルによって血管平滑筋細胞の形質転換が惹起されるものと考えられるが、その詳細な機序は不明である。われわれは、酸化ストレスおよびアポトーシスの両面からアプローチしている。その結果、AGEは有意に酸化ストレスの指標である過酸化水素の産生を亢進することが明らかとなった。さらに、抗酸化剤であるTEMPOLの前処置によってAGE誘導性のCa沈着が抑制されることが明らかになった。したがって、今後はより詳細な検討が必要であると考えられる。一方、AGEによりアポトーシスが促進されるか否かについては現在検討中である。また、尿毒素物質であるフェニル酢酸(PAA)などの影響についても検討している。
さらに、われわれは、内皮細胞へのAGE/PAAの影響についても検討している。AGEおよびPAAがTNFα産生を促進する結果を得ており、酸化ストレスやアポトーシスへの影響について検討中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Calcium-corrected Intact PTH : A Clinically Useful Parameter for Quantifying Parathyroid Function in Patients Undergoing Hemodialysis.2010

    • 著者名/発表者名
      Yano S, Brown EM, Takase H, et al
    • 雑誌名

      Nephron Clin Pract. 115

      ページ: c51,c58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Bone metabolism after cinacalcet administration in patients with secondary hyperparathyroidism.2010

    • 著者名/発表者名
      Yano S, Suzuki K, Sumi M, et al
    • 雑誌名

      J Bone Miner Metab 28

      ページ: 49,54

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Parathyroid Hormone Upregulates BMP-2 mRNA Expression Through Mevalonate Kinase and Rho Kinase Inhibition in Osteoblastic MC3T3-E1 Cells.2009

    • 著者名/発表者名
      Takase H, Yano S, Yamaguchi T, et al
    • 雑誌名

      Horm Metab Res. 41

      ページ: 861,865

    • 査読あり
  • [学会発表] Parathyroid Hormone Upregulates BMP-2 mRNA Expression Through Mevalonate Kinase and Rho Kinase Inhibition in Osteoblastic MC3T3-E1 Cells.2009

    • 著者名/発表者名
      Takase H, Yano S, Yamaguchi T, Kanazawa I, Hayashi K, Yamamoto M, Yamauchi M, Sugimoto T
    • 学会等名
      The 31^<th> American Society for Bone and Mineral Research
    • 発表場所
      Denvar, USA
    • 年月日
      20090911-20090915
  • [図書] CKD-MBDハンドブック2009

    • 著者名/発表者名
      矢野彰三(編著:深川雅史)
    • 総ページ数
      253
    • 出版者
      日本メディカルセンター

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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