I. アルドステロン(Aldo)持続投与ラットにおける腎障害、特に炎症・線維化の検討ならびに降圧薬とセリンプロテアーゼ阻害薬(SERPIN)による腎障害軽減作用・腎保護作用の検討 浸透圧ポンプを用いてアルドステロン持続皮下注(0.75μg/hr)したSDラットにおいて、8%NaCl食に0.1%メシル酸カモスタット混餌し、4週間与えたところ血圧の有意な低下、尿蛋白および血清Crの有意な低下を認めた。Real time PCRによる検討では、腎線維化マーカーであるType I、Type III collagenが有意に減少し、ポドサイト障害のマーカーであるnephrinは有意に増加、、単球走化活性因子であるMCP-1は有意に低下した。また、腎組織標本において糸球体硬化、間質の線維化所見の改善も認めた。以上のことからアルドステロン投与ラットにおいて経口セリンプロテアーゼ阻害薬であるメシル酸カモスタットが降圧作用を有し、腎保護的に作用することが証明された。 II. プロスタシン持続静注ラットにおける腎障害、特に炎症・線維化の検討ならびにセリンプロテアーゼ阻害薬による腎障害軽減作用・腎保護作用の検討 1. 浸透圧ポンプを用いて、リコンビナントヒトプロスタシン蛋白を4週間持続静注(10μg/kg/hr)するラットモデルを作製し、血圧、1日尿蛋白、尿中Na、K排泄、BUN、血清Cr、Ccrを評価した。プロスタシン投与ラットで血圧上昇を認めず、尿蛋白、尿中Na、K排泄、BUN、血清Cr、Ccrもコントロールと有意差を認めなかった。 2. このモデルラットにおいて腎組織標本および線維化マーカー、ポドサイト障害マーカーに有意な変化を来たさなかった。リコンビナントプロスタシン蛋白の用量設定の問題が腎組織障害を来たさなかった原因と推測されたが、リコンビナント蛋白の大量投与は蛋白の精製上の問題から困難と考えられた。
|