I.プロスタシン持続静注ラットにおける腎障害、特に炎症・線維化の検討ならびにセリンプロテアーゼ阻害薬による腎障害軽減作用・腎保護作用の検討(再実験) 1.浸透圧ポンプを用いて、リコンビナントヒトプロスタシン蛋白を4週間持続静注(10μg/kg/hr)するラットモデルを再度作製し、血圧、1日尿蛋白、尿中Na、K排泄、BUN、血清Cr、Ccrを評価した。プロスタシン投与ラットで血圧上昇を認めず、尿蛋白、尿中Na、K排泄、BUN、血清Cr、Ccrもコントロールと有意差を認めなかった。 2.このモデルラットにおいて腎組織標本および線維化マーカー、ポドサイト障害マーカーに有意な変化を来たさなかった。リコンビナントプロスタシン蛋白が低用量のため腎組織障害を来たさなかったと推測されたが、リコンビナント蛋白の大量投与は蛋白の精製上の問題から困難であった。 3.リコンビナントプロスタシン蛋白投与で腎障害を来たさなかったため、同モデルでのセリンプロテアーゼ阻害薬投与は中止とし、プロスタシントランスジェニックマウスでの実融は保留としている。 II.protease-deadプロスタシン持続静注ラットにおける腎障害についての検討 Iの実験においてリコンビナントプロスタシン蛋白投与で腎障害を来たさなかったため、protease-deadプロスタシン蛋白投与に関しても保留とした。 アルドステロン持続投与ラットにおいてプロスタシン以外のセリンプロテアーゼが腎障害に関与している可能性を考慮し、同モデルラットの腎組織ならびに尿のザイモグラフィーを施行したところ、活性が増加したセリンプロテアーゼを検出した。そこでLC-MS/MSを用いて解析を行い、活性が増加したセリンプロテアーゼの同定に成功し、現在、同定したセリンプロテアーゼによる腎障害発生機序に関してポドサイト等を用いた培養細胞系で検討中である。
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