研究課題/領域番号 |
20590983
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
藤田 朋恵 北里大学, 医学部, 講師 (20296510)
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研究分担者 |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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キーワード | マイクロダイセクション / 腎接合尿細管 / カルシウムイメージング / 自然発症高血圧ラット / SV40ラージT抗原ラット / 接合尿細管継代培養 / 腎カリクレイン / 遺伝子多型 |
研究概要 |
【研究内容】カリウム刺激による腎カリクレイン分泌増大機序およびヒト生体内での腎カリクレインのナトリウム排泄調節機能を明らかにすることを目的とするものである。自然発症高血圧モデルラットの接合尿細管初代培養細胞を用いたカルシウムイメージングモデルの作成を確立し、カリウム刺激後のカルシウム上昇について調べた。カリクレイ分泌の細胞内機序を簡便に調べる方法として、不死化遺伝子(SV40ラージT抗原)導入ラットから接合尿細管および初期集合管を単離し、カリクレイン産生接合尿細管細胞および主細胞をクローニングすることを試みた。尿中カリクレイン分泌低下を示すカリクレインプロモータの多型保有者を検索した。H22年度は(1)~(4)のような成果を得た。 (1)マイクロダイセクションにより単離した接合尿細管の初代培養細胞を用いたカルシウムイメージングモデルにおいて、カリウム刺激によって細胞内カルシウムは上昇しなかった。カリクレイン分泌作用のあるバソプレシンは細胞内Caを増加し、その反応がV1a受容体を介することを同定した。若齢SHRでWKYに比べ反応が大きいこと、単離接合尿細管でのV1a受容体の発現量が多いことが示唆された。 (2)SV40ラージT抗原発現初期集合管由来細胞から限界希釈法により高濃度の主細胞を得た。 (3)健康成人男女60名において、カリクレインプロモータ領域多型5人(ホモ体)を検出し、この多型者では尿中カリクレイン活性が低値であった。 【意義、重要性】カリウムによるカリクレイン分泌増加には細胞内カルシウム上昇は媒介していなかったことから、今後は樹立細胞を用いてカルシウム以外の機序を検討する。今回検索されたカリクレイン低分泌を示すカリクレインプロモータ多型保有者およびカリクレイン低分泌を示さない非保有者を対象としてナトリウム排泄調節機能について生食負荷、降圧利尿薬投与の条件下で比べることができる。このようなアプローチは新たな降圧利尿薬の標的分子同定や高血圧治療における減塩治療が特に有効な集団を明らかにした上での個別化薬物治療に応用できると考える。
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