研究概要 |
クロウ・深瀬症候群の新規治療法として、「治療開始時65歳以下の患者には自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法(以下Auto-PBSCT)、66歳以上の患者にはサリドマイド療法」という暫定指針のもとに、27名の本症候群患者に対して、Auto-PBSCTを16名に、サリドマイド療法を11名に施行した。Auto-PBSCT療法は劇的な臨床効果を示し、浮腫、胸・腹水、皮膚症状の改善に加えて神経症状(末梢神経障害による四肢筋力低下)の著明な改善が得られた。この成果をNeurology誌に公表した。サリドマイド療法群においても観察期間約1年で8名に臨床症状の改善、3名で症状の進行停止が得られ、一定の臨床効果が認められた。この結果をJournal of Neurology, Neurosurgery, and Psychiatry誌に公表した。これら2つの新規治療法の有効性を確認できた意義は大きく、これまで本症候群に対する治療の主流であったメルファランによる化学療法よりも、より臨床効果が高いことが示されたことから、Auto-PBSCTおよびサリドマイド療法は今後治療の第一選択として用いられる可能性が高くなった。今後この2つの治療法を中心とした治療ガイドラインが作成され、より有効な治療として臨床応用される基盤としてのデータを蓄積したと言える。
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