遺伝性神経疾患の原因遺伝子を同定することにより、当該疾患の診断精度の向上、病態解明及び治療法開発を進めることが可能となる。分子遺伝学の進歩により、多くの疾患の原因遺伝子が、過去20余年の間に同定され、研究が大きく展開されている。しかしながら、すべての疾患遺伝子が同定されているわけやはなく、稀少な小家系においては、原因導伝子の同定が残されているものも多く、また家系解析(連鎖解析)もこれまで多大な労力を要するものであった。SNPチップによる全ゲノムのジェノタイピングが短時間に行えるようになったことから、SNPチップデータによるバイスループヅト連鎖解析システムを福田(連携研究者)らは確立した。本システムを用いて、これまでに収集してきた、原因遺伝子末同定の遺伝性疾患家系について、連鎖解析による遺伝子候補領域の同定を進めている。これまでに、網膜色素変性症を伴う後素性運動失調症1家系、神経セロイドリボフスチノーシス1家系、眼咽頭遠位型ミオパチー1家系、家族性筋萎縮性側索硬化症3家系、遺伝性痙性対麻痺3家系、遺伝性封入体筋炎1家系、遺伝性脊髄小脳運動失調症1家系、精神運動発達遅滞を伴う運動失調症1家系、片頭痛1家奉について、全ゲノムSNPタイピングを行い、連鎖解析を進め、候補領域の同定を行っている。家系の収集を進めるとともに、未解析の家系の解析、候補領域を同定した家系については、書誌学的情報、オントロジー、ゲノム情報学を駆使した候補遺伝子の抽出、エクソンキャプチャー等を用いた、大規模シークエンシング解析による病因変異の同定を進めていく。
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