研究課題
昨年度までに確立したラットの骨格筋蛋白を抗原とする二次元免疫プロット法と質量分析法を組み合わせたプロテオミクスの手法を用いて、今年度は筋炎の患者血清中に存在する特異的抗筋抗体の検索を更に進めた。調査の対象とした血清は、筋生検で確認された10例の特発性炎症性筋炎(多発性筋炎7例、壊死性筋炎2例、皮膚筋炎1例)、対照として筋強直性ジストロフィー11例、健常人10例であった。特発性炎症性筋炎(IIM)の患者血清に有意に高頻度に反応する7スポットを検出し、LC-MS/MS質量分析法により、これらから2つの新たな抗体認識抗原を同定した。myosin-binding protein(fast type) [MBPC]とpyruvate kinase isozyme M1/M2 [PK M1/M2]という筋特異的分子であり、前者は免疫グロブリンスーパーファミリーの一つで骨格筋や心筋のthick filamentに存在し、後者は骨格筋に豊富に存在するフォスフェノールピルビン酸をピルビン酸に変換する酵素である。いずれも実験的自己免疫性筋炎を動物に惹起しうる抗原として報告されている。IIMにおける抗MBPC抗体は9/10で陽性、抗PK M1/M2抗体は5/10で陽性であった。両抗体を組み合わせた場合のIIM診断感受性は50%、特異性は80%で、多発性筋炎の診断については感受性は71%、特異性は92%であり、有力な診断バイオマーカーの候補となることを明らかにした。
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